特定技能と技人国(技術・人文知識・国際業務)の在留資格の違いとは?5つの視点で比較して解説
外国人が日本で働き、賃金を得て暮らしていくには、「就労可能な在留資格」が欠かせません。
しかし、この就労可能な在留資格にはさまざまな種類があり、種類によって従事可能な業務の分野や内容が変わってきます。そのため外国人人材を雇用する企業側は、自社の業種・業務の内容に合った在留資格を理解した上で、適切な在留資格を持つ外国人を採用する必要があるのです。
そこで今回は、登録支援機関として医療や介護、外食、飲食料品製造の分野で1号特定技能外国人とその所属機関のサポートを行っている私たちルポゼソリューションが、就労可能な在留資格のうち「特定技能」と「技人国」の違いについて、5つの視点から比較・解説していきます。
自社で外国人の雇用を考えるにあたり、どのような在留資格を持つ人材を受け入れるべきかわからず悩んでいるという企業様は、ぜひ参考としてご覧ください。
目次
特定技能と技人国は、どちらも「在留資格」の一種

特定技能と技人国はどちらも在留資格の一種で、一般的に就労ビザと呼ばれることもあります。
そこでまずは、ビザや在留資格とは何か、両者の違いを含めた概要について確認していきましょう。
「制度の概要 | 在留資格 特定技能 | 外務省」によると、ビザとは査証のことであり、外国人の持つパスポートが真正であること、また日本への入国・上陸が適当であることを外務省及び在外公館が確認するもので、主に「外国人の日本への入国を許可するためのもの」だとしています。
そして在留資格とは、外国人の上陸審査の際に付与する資格のことです。在留資格は、外国人が日本で就労等の活動を行う上で必要になる法的資格のことであり、「外国人が日本滞在中にできることの範囲を定め、資格という形で付与したもの」だと言えるでしょう。
つまり、本来ビザと在留資格はまったくの別ものなのですが、通称として日本で就労するための在留資格を就労ビザ、観光滞在するための在留資格を観光ビザなどと呼ぶのが一般化しているのです。
なお、一般的に就労ビザと呼ばれる在留資格(就労資格)としては、特定技能と技人国(技術・人文知識・国際業務)を含む以下の19種類が挙げられます。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技人国(技術・人文知識・国際業務)
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
いわゆる就労ビザ以外の在留資格について
日本での就労が認められない、または別途、就労するための申請手続きが必要になる非就労資格の種類についても以下にまとめましたので、こちらも参考としてご覧ください。
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
- 特定活動
【就業可能な職種・分野】特定技能と技人国の違い

ここからは、外国人が日本で働く上で不可欠な就労可能な在留資格のうち、特定技能と技人国の違いについて、就業可能な分野・取得の条件・在留期間・家族帯同の可否・雇用時のポイントの5つの視点から解説していきます。
まず特定技能と技人国の在留資格で就労可能な職業・分野の違いは、それぞれ以下の通りです。
| 特定技能の在留資格で就労可能な16の分野 | ・介護 ・ビルクリーニング ・工業製品製造業 ・建設 ・造船・舶用工業 ・自動車整備 ・航空 ・宿泊 ・自動車運送業 ・鉄道 ・農業 ・漁業 ・飲食料品製造業 ・外食業 ・林業 ・木材産業 |
|---|---|
| 技人国の在留資格で就労可能な分野、及び職種の具体例 | ・理学、工学、法律学、経済学、社会学など各分野の専門的な知識や技術を要する業務 例) ・機械工学等の技術者 ・通訳 ・語学講師 ・デザイナー ・マーケティング業務従事者 など |
【参考】在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁、受入れ機関の方 | 出入国在留管理庁
特定技能は、日本国内の人材だけでは人手不足を解消することが難しいと考えられる16の分野において即戦力性の高い外国人人材を受け入れるための制度であるため、特定技能の在留資格を持つ外国人は、上記16の産業分野でのみ従事が可能です。
また、各分野において従事が認められた業務の範囲内であれば、メインとなる業務に付随する、または支援するための単純労働にも従事することができます。
一方で技人国の在留資格を持つ外国人人材が従事できるのは、専門性の高い職種・業務のみであり、単純作業がメインの業務内容となるような職種、企業においては働くことができません。
【在留資格の取得条件】特定技能と技人国の違い
特定技能と技人国の在留資格を取得する際に満たすべき条件の違いは、以下の一覧の通りです。
特定技能には1号と2号があり、2号の特定技能資格を取得するには1号特定技能人材として一定の期間就労した上で、より難易度の高い日本語能力試験と技能試験に合格する必要がありますので、注意しましょう。
| 特定技能の取得条件 | ・日本語能力試験(1号の場合はN4レベル、2号の場合はN3レベル)に合格すること ・各分野ごとに設定された技能試験に合格すること (※ただし、技能実習2号を終了した外国人は免除) ・介護、自動車運送業、鉄道分野は別途要件あり |
|---|---|
| 技人国の取得条件 | ・就労予定の職種に関わる学部のある日本及び海外の短期大学、4年制大学、または日本の専門学校を卒業していること ・日本で就業予定の職種の関連分野について、学習した期間も含め10年以上の実務経験があること ・外国の文化を基盤とする業務に従事する場合は、その業務において3年以上の実務経験があること (※ただし大卒者が翻訳、通訳など語学指導に関わる業務に就く場合は、実務経験は問わない) ・日本の就業先において、日本人と同等額以上の報酬を受けること |
なお技人国においては、在留資格を取得するために特定の試験を受ける必要はありませんが、日本で従事する予定の職種・分野に対する高い専門性が求められるため、技人国の在留資格を申請するまでに特定の分野について深く学び、実務経験を積んでおく必要があります。
【在留可能な期間】特定技能と技人国の違い

特定技能と技人国、そして特定技能の1号と2号では、日本に在留できる期間においても違いがあります。それぞれの資格で在留可能な期間と更新の申請が必要なタイミングについては以下の表にまとめましたので、ひと通りご確認ください。
| 特定技能の在留資格で在留できる期間 | 1号の場合 | ・通算で5年までが上限 ・在留期間の更新は、法務大臣が個々に指定する期間(1年以内)で行う |
|---|---|---|
| 2号の場合 | ・在留期間の更新を続ければ、期間に上限なし ・ただし6か月、1年、または3年ごとに在留期間の更新手続きが必要 | |
| 技人国の在留資格で在留できる期間 | ・在留期間の更新を続ければ、期間に上限なし ・ただし3か月、1年、3年、5年ごとに在留期間の更新手続きが必要 | |
【参考】在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁、受入れ機関の方 | 出入国在留管理庁
【家族帯同の可否】特定技能と技人国の違い
就労するために日本に滞在する外国人の家族帯同については、1号特定技能の在留資格では原則不可となっています。一方で2号特定技能、ならびに技人国の在留資格を取得する場合は、日本で就労予定の外国人の配偶者と子を家族として帯同させることができます。
ただし、2号特定技能と技人国人材の家族を帯同させる場合には、別途、家族に「家族滞在」の在留資格を取得させる必要がありますので、ご注意ください。
【雇用のポイント】特定技能と技人国の違い
特定技能、そして技人国の在留資格を持つ外国人人材には、それぞれ以下のような特徴があります。ひと通りご確認の上、自社においてどのような在留資格を持つ外国人人材を雇用するのが適切かを考える際の参考として、お役立てください。
| 特定技能人材の特徴 | ・技能評価試験に合格しているため、自社の事業分野における即戦力性が高い ・高卒で要件を満たして来日する人材もいるため、年齢層が比較的若い |
|---|---|
| 技人国人材の特徴 | ・在留期間の上限がなく、更新期間も最大で5年と長い ・ただし、携われる業務についての制限は多い |
他にもある!特定技能外国人の雇用で期待できるメリット
特定技能外国人を自社で受け入れることによって期待できる効果は、人手不足の解消や事業の発展・継続だけではありません。異文化を受け入れることで職場の雰囲気が明るくなったり、外国人人材と働くことで、日本人職員のモチベーションが向上するなどの効果も期待できます。
また、特定技能外国人が給与の一部を母国に送金することで、家族が学校や病院に通えるようになることも多いため、特定技能外国人の受け入れは国際社会への一種の貢献にもなり得ます。
自社において外国人人材の雇用を検討しているなら、自社の分野で就労可能な特定技能外国人を正社員雇用することも、ぜひ積極的に検討してみてください。
ルポゼソリューションの強み・特定技能外国人の登録支援機関としての特徴はこちら!
特定技能外国人の採用・就労支援ならルポゼソリューション

ルポゼソリューション株式会社は、医療・介護分野を主業務とするIKOI GROUPの一員です。
自社グループの介護施設で外国人材を雇用した経験をもとに、特定技能外国人の登録支援機関として、主に以下の分野において1号特定技能外国人の採用や就労、学習支援等を行っています。
- 介護
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 宿泊業
- 自動車運送業
- 建設業
支援義務の10項目はもちろん、各協議会への登録手続きや申請・届出に関するアドバイス等にも対応する他、外国人材に対しては24時間体制・母国語でのサポートを行い、急病時の病院への付き添いなど、緊急事態が起きた場合の支援にも注力。
特定技能外国人に「日本を選んで働きに来てよかった」と感じていただけるように、また各現場で即戦力として働いていただけるように、人材と所属機関の双方をしっかりと支援いたします。
人手不足のために外国人材の雇用を検討しているがどうすればいいかわからない、自社だけで特定技能外国人を雇用・支援することに不安があるという場合は、ぜひ私たちルポゼソリューションまでお気軽にご相談ください!